【サメの基本】サメは海のハンター

サメってどんな生き物でしょう?

私たちがサメと聞いて最初に思いつくのはこんなワードではないでしょうか。

「人喰い」「怖い」「ジョーズ」

サメに対して何となく怖いイメージを抱いていますよね。サメは恐ろしい……でも詳しくは知らない。
そこで、サメがどういう生き物なのか「サメの生態」について紹介していきたいと思います。

今回はサメの”海のハンター”としての能力を解説します。

この記事を読んでもらえれば、

・サメにどんな能力があるのかわかる

・水族館のサメコーナーを今まで以上に楽しめる

ようになります。
それでは早速解説していきます。

1.サメは海のハンター!

サメとはずばり、『海のハンター』です。

一部の例外を除いてほとんどが海中に生息し、高度な狩りの能力を有しています。
地球上のあらゆる海に生息していて、熱帯・温帯・寒い地方などあらゆる海域へ、海底・浅瀬・外洋・深海そして川などあらゆるフィールドに進出しています。種類も多種多様で、現在500種以上のサメがいます。

いろんな大きさ

世界最大のサメであり最も大きい魚、25メートルプールを1尾で占領する全長が14~15メートルにもなる「ジンベエザメ」、かたや大人で20センチにも満たない、手の平に乗るくらいの世界最小クラスのサメ「ツラナガコビトザメ」がいます。

いろんな食性

映画「ジョーズ」で悪名高い肉食の「ホホジロザメ」から、海中のプランクトンを主食している「ウバザメ」「メガマウス」、貝類や甲殻類をぼりぼり食べる「ネコザメ」もいます。

一口にサメと言っても、いろんな種類のサメがいることはわかりましたか?

サメは恐竜が誕生する以前から存在し、地球規模の大量絶滅を何度も乗り越えてきました。そして、海で生きていくために洗練された進化を続けていたのです。

サメの体

2.獲物を探し出す優れた感覚能力

サメは獲物である魚介類・哺乳類を探し出すため、優れた感覚能力を持っています。中には人間が持っていない能力もあるのです。

聴覚(振動)

サメは獲物のいる場所をとらえる2種の優れた聴覚(振動)器官をもちます。海中で発生する振動を感じ取り、数百~数キロメートル先にいる獲物の場所を知ることができます。

目の後方に小さな穴が開いていて外からは見えませんが、これがサメの耳になっています。
人間より優れた聴力を持ち、人には聞こえない範囲の低音~高音域まで聞こえます。

側線

サメの体に沿って走る感覚器官で、特に低音の振動を感じ取ることができます。体から少し離れた周囲の音を感じ取ります。人間にはこれに相当する器官は持っていません。
遊泳中、体のバランスを取るのにも使っています。

嗅覚

サメには吻〈ふん〉の下の方に鼻孔があり、優れた嗅覚を持っています。海中でただよう獲物の体液や血液に敏感に反応します。

高い感知能力

その感覚能力は100万分の一の濃度でも感知します。例えるなら小さなプールに茶さじ一杯分の濃度でも反応します。

臭いの方向がかわかる

人間が二つの耳を使うことで音の発生源がわかるように、サメも臭いからどこから体液や血液が流れてくるか方向を特定します。

視覚

いずれのサメも目を持ち、海中で獲物をとらえるのに有利な構造になっています。

暗くても相手が見える

サメの目は人間と同じような構造を持ち、十数メートル先も見えます。また、目の網膜の後ろ側には鏡のような特殊な構造があり、外から入って来た光を反射させることで薄暗い海中でも獲物の姿が見えます。

保護機能がある

獲物を攻撃するとき、目が負傷しないようにする保護機能があります。獲物に襲い掛かる瞬間、目玉を裏返して獲物の反撃から自分の目を守ります。また瞬膜と言ってまぶたのような構造をもつサメもおり、必要に応じて瞬膜で目を覆いガードします。

第六感

サメの第六感とも呼ばれる「ロレンチーニびん」という器官を持ち、海中の微弱な磁場をとらえます。

獲物をとらえる

海中で動物が筋肉を動かすと、筋肉に電流が流れ周囲に磁場が発生します。サメは”ロレンチーニびん”という器官を使ってこの磁場をとらえ、獲物の位置を割り出します。
よって、視界の悪い海中や土中いる獲物であっても捕らえることができます。

以上のように、サメは優れた感覚能力を使い獲物を見つけ出します。

まず耳の聴覚と嗅覚で獲物のところまで泳いでいき、側線の振動感知と目で獲物をとらえ第六感も活用し攻撃する、というのがサメの大まかな狩りの流れとなっています。

獲物との距離聴覚嗅覚側線視覚磁場
圏外
数km🦈❢
数100m🦈❢
数10m🦈❢
10数m🦈❢
獲物🦈❢

そして、獲物を捕まえるのにも優れた武器を持っています。

3.獲物を逃がさない武器

獲物はサメが攻撃してくると当然逃げようとします。しかし、サメは獲物を逃さないための武器を持っているのです。

高速で泳ぐのに適した体

高速遊泳に適した体形

肉食で海中を高速で泳ぐアオザメなどは、体全体が紡錘形となっています。この形は水の抵抗を最小限にとどめることができ、水中をスイスイ泳ぐことができます。

水の抵抗を減らす特殊なウロコ

サメのウロコは楯鱗<じゅんりん>と呼ばれる特殊なウロコで覆われています。それ自体が頑丈で自分の身を守る鎧のような役割をしています。さらに水の抵抗を減らす特殊な構造をしており、水中をスイスイと泳げるようになるだけでなく、音を立てずに獲物に近づくのに一役買っています。

強力な顎とサメ歯

強力な顎

サメの代名詞、顎はサメにとって強力な武器の一つです。サメの顎は私たちと違い頭の骨とは独立しており、攻撃する際口から顎を飛びださせるようにして相手に噛みつきます。ホホジロザメの噛む力は人間の数倍にもなります。

サメ歯

サメ歯はその食生活によって最適な形になっています。素早い小魚などを捕食するサメは、一度噛みついたら逃がさないよう鋭い”刺す歯”になっているものもあれば、大きな獲物に噛みついたときステーキナイフのように肉を引き裂ける形のサメ歯があります。

サメが獲物を捕らえる際、高速で相手に近づき顎を突き出してサメ歯で攻撃する、というのが主な流れになっています。

まとめ

以上のとおり、サメは海のハンターとして優れた能力を持っています。

獲物を探し出す優れた感覚能力

獲物を逃がさない武器

この2つを駆使し、獲物を捕らえます。

ここまで聞くと、やはりサメは恐ろしい生き物……と思われがちですが、実際に人間に危害を加える可能性のあるサメは、500種以上いるサメの内の1割弱となっています。

サメによる被害の実態は下記の記事で紹介しています。

【COLUMN】サメって危険?

 突然ですがクイズです。 Q:地球上には500種以上のサメがいます。その内、“人を襲う危険のあるサメ”は何割でしょう?   ① 3割 ② 5割 ③ 9割 ……すみませ…

次回の”サメの基本”では、あまり知られていないサメの生態、”鮫”という漢字の由来等も紹介したいと思います。

参考文献

『世界の美しいサメ図鑑』 仲谷一宏/監修 宝島社 2015

『世界サメ図鑑』 スティーブ・パーカー/著 仲谷一宏/日本語版監修 ネコ・パブリッシング 2010

『さめ先生が教える サメのひみつ10』 仲谷一宏/著 ブックマン 2016

『ほぼ命がけサメ図鑑』 沼口麻子/著 講談社 2018

『サメー海の王者たちー 改訂版』 仲谷一宏/著 ブックマン社 2016

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