【いろんなサメ】オナガザメ

この記事では、いろんなサメの生態を紹介していきます。

今回紹介するのは『オナガザメ』

『生物学史上、人間以外で唯一剣術を会得した生き物』

『斬鮫流剣術の使い手』のサメ。

サメが剣術!?そんな馬鹿な!?と思われる方もいるでしょうが、本当に彼らは”剣”を使って狩りをします。
その実力は……かの有名な巌流島の決闘で勝利した宮本武蔵以上!(だってちゃんと本にそう書いてあるんだもの……

どんな姿をしているかというと……

maonaga

全長のほぼ半分が尾ビレになっているのです。形はまるで長刀……まさに宮本武蔵の宿敵、佐々木小次郎の物干し竿を彷彿とさせます。

しかもただ長いだけではありません。本当にこの長い尾ビレを使って狩りをするのです。

それでは詳しく解説していこうとおもいます。

1.オナガザメの基本データ

オナガザメに属するサメは3種います。

「マオナガ」「ニタリ」「ハチワレ」

基礎データは下記のとおりです。

種類マオナガニタリハチワレ
品目ネズミザメ目ネズミザメ目ネズミザメ目
科名オナガザメ科オナガザメ科オナガザメ科
マオナガニタリハチワレ
学名Alopias vulpinusAlopias pelagicusAlopias superciliosus
命名者Bonnaterre, 1788Nakamura, 1935Lowe, 1841
英名Common thresherPelagic thresherBigeye thresher
分布世界中の冷水から温水域
日本では北海道以南
太平洋、インド洋の熱帯海域
日本では青森県以南の太平洋や日本海
世界中の海の熱帯から温帯海域
日本では南日本
生息域水面~水深400m以上
外洋を好みまれに沿岸まで来る
外洋の水深150m程度までの表層域
ときに沿岸まで来る
沖合~外洋域の表層~700m以深
大きさ幼魚:1.1~1.6m
大人オス:約3m
大人メス:約3.7~4m
最長6m超
幼魚:1.3~1.6m
オスメスともに3m程度
最長4.2m
オナガザメ類3種の中で最小
幼魚:1~1.4m
大人オス:2.8~3m
大人メス:3.4~3.6m
体重400kgほど
まれにそれ以上
体の特徴体背面は青灰色
腹面は白
外見はニタリにそっくり
体背面は青灰色
腹面は白
外見はマオナガにそっくり
人間のこぶし大にもなる大きい目を持つ
背中側の頭部後方に八の字の切れ込みがある
やや小さめの滑らかで鋭い歯を持つ
食べ物群れをなす硬骨魚類、タコ・イカ、甲殻類
まれに海鳥
魚類、無脊椎動物魚類、無脊椎動物
生殖方法子ザメを生む胎生
(母体依存型・食卵)
子ザメを生む胎生
(母体依存型・食卵)
子ザメを生む胎生
(母体依存型・食卵)
人間に対する危険度

マオナガとニタリは姿かたちが非常に似ています。素人が遊泳中の2尾を見ても外見だけでは判別できないでしょう。だから”ニタリ(似たり)”と呼ぶようになったと言われています。

一方でハチワレは頭部後方に八の字の特徴的な切れ込みが見られます。そして英名がBigeye thresher。”大きな目”と名付けられるだけあって、人間のこぶし大の大きな眼を持っています。

2.どうやって尾ビレで狩りをする?

オナガザメはその長い尾ビレで狩りをします。YouTubeでオナガザメが狩りをする動画を見つけましたのでここに載せておきます。

いかがでしょうか。まるで尾ビレをムチのようにしならせ、魚に袈裟切りしています。

オナガザメの攻撃パターンは次の通りです。

  • 魚の群れ発見、接近。
  • 警戒心を与えないよう、長い尾ビレを使い魚の群れを一か所に誘導
  • 一度群れから離れ、反転して獲物の下方へ。眼で群れの位置を確認してから……
  • 尾ビレで獲物を攻撃!魚は気絶または骨折し、弱っているところをガブリっ!

オナガザメの尾ビレは他のサメと違い、厚い筋肉で覆われておりかなり固いです。しかも彼らは尾ビレを自在に動かすことができるので、これをくらった魚はひとたまりもないでしょう。

3.高い身体能力

オナガザメの特徴は、その長い尾ビレだけではありません。高い身体能力を持ち海上へジャンプすることもできます。

すごいジャンプですね。これには理由があります。

サメは変温動物と言いますが、オナガザメは少し事情が違っているのです。
奇網と呼ばれる体の体温を高く保つ仕組みがあり、周囲の海水温より高く体温を保てるのです。
温度が上がると筋肉は活発となり身体能力があがります。だからこのような大ジャンプが可能なのです。

4.人間は襲わない?

オナガザメは人間に対して積極的に攻撃するサメではありません。

そもそもオナガザメは非常に警戒心が強く、人間が近づくのは容易ではありません。
水族館での飼育も難しいため、普段お目にかかれないサメです。
オナガザメを見ることができたのなら、かなりのラッキーでしょう。

人間が食べられる心配はないかもしれませんが、大型のサメであるので見つけても不用意に手を出さないようにしましょう。

まとめ

オナガザメの解説は以上です。

サメにもこんな種類がいるのか、と思った方は多いと思います。
しかしサメの種類は多種多様。
次回もまたユニークなサメを紹介したいと思います。

参考文献

『世界の美しいサメ図鑑』 仲谷一宏/監修 宝島社 2015

『世界サメ図鑑』 スティーブ・パーカー/著 仲谷一宏/日本語版監修 ネコ・パブリッシング 2010

『さめ先生が教える サメのひみつ10』 仲谷一宏/著 ブックマン 2016

『ほぼ命がけサメ図鑑』 沼口麻子/著 講談社 2018

『サメー海の王者たちー 改訂版』 仲谷一宏/著 ブックマン社 2016

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