【いろんなサメ】ネコザメ

この記事では、いろんな種類のサメを紹介していきます。

今回紹介するのは『ネコザメ（猫鮫）』。

それがネコザメです。
どれだけ愛嬌のいい顔をしているかというと……

こんな顔をしています。私たちがイメージするジョーズのサメとは真逆の印象を受けるサメですね。

水中で速く泳ぐための紡錘形の形をして――いない。
獲物の肉を切り裂くための鋭利な歯を――持っていない。
猫耳――と言えなくもない出っ張りがあり、おまけにヒレには棘が生えています。

ネコザメは古い時代のサメの特徴を残していると言われています。
なのでネコザメはサメの中でも変わった特徴を多く持っていると考えられています。
それでは詳しく解説していこうと思います。

１．ネコザメの基本データ

現存するネコザメは９種です。
今回はその中でも日本人になじみのフカい学名：Heterodontus japonicus、和名：ネコザメについて紹介します。
ネコザメの基本データは下記のとおりです。

目名	ネコザメ目
科名	ネコザメ科
属名	ネコザメ属
種名	ネコザメ
学名	Heterodontus japonicus
命名者	Maclay & Macleay, 1884
英名	Japanese bullhead shark
分布	日本から台湾にかけての太平洋北西部温帯海域
生息域	100ｍより浅い海底・岩場・藻場・海中林など
大きさ	幼魚：20センチ弱 大人：50～70センチ 最大1.2ｍ
体重
体の特徴	太く短い頭 猫耳のように見える出っ張り 背ビレにトゲがある
顎・歯	頑丈な奥歯
食べ物	エビ、カニなどの甲殻類サ ザエなどの貝類 ウニ類
生殖方法	卵生
人間に対する危険度	低

２．なんでネコザメっていうの？

”ネコザメ”という名前の由来は、特徴的な二つの突起から猫を連想させるため。
またはその特徴的な縞模様からネコザメと呼ばれるようになったそうです。

正面からじっくり見れる動画をYouTubeで見つけたので貼っておきます。

猫耳のような出っ張り。
つぶらな瞳。
大きいヒレとトゲ。

サメの中でもインパクト大の姿です。

３．あなどれない顎の力

ネコザメは普通のサメに見られるような鋭いサメ歯を持っていません。

代わりに、げんこつのような平らな歯を持っています。そしてこのサメ歯で、好物の貝を殻ごと噛み砕くのです。YouTubeで見つけた動画をご覧ください。

バキバキとサザエを砕きます。人間の顎ではまず不可能ですね。
ネコザメの別名は「サザエワリ」。
固い貝の殻を強い顎でボキボキとかみ砕き、柔らかな中身だけ食べます。
殻は体の側面にあるエラの孔から排出します。

４．変わった形の卵

サメの仲間はお腹で赤ちゃんを育てる胎生が多いです。
そんな中、ネコザメは卵を産む少数派の卵生です。

産まれた卵の大きさは手の平15センチほどで柔らかく、ドリルのような独特な形をしています。
母親は産んだ卵を口にくわえ、隠し場所を悩みながら泳いで探します。そしてちょうどよい岩の隙間などに押し込みます。
しばらくすると卵は硬化し岩から抜けなくなります。
そして孵化するまで卵の中で過ごします。

これはカリフォルニアネコザメという別の種のネコザメですが、孵化する瞬間ちょこんと顔を出している姿が可愛らしいですね。

５．日本人に愛されているサメ？

ネコザメは日本人に最も愛されているサメの一種と言っても過言ではないかもしれません。

性格は大人しく比較的小型のサメなので飼育がしやすく、サメを展示している水族館では高確率でネコザメを飼育しています。なので水族館で一番会える確率の高いサメではないでしょうか。”ネコザメにタッチできる”水族館もあるほどです。
また飼育がしやすいということで、個人でネコザメを育てている人もいます（もちろんそれなりの大きさに育つのでそれなりの設備は必要ですが）。

愛嬌の良さ・大人しい性格・飼育のしやすさから、結果として一番日本人が接する機会の多いサメと言えるかもしれません。

まとめ

ネコザメの解説は以上です。

いかがでしたでしょうか。
おそらくサメ界一の愛嬌のある顔、愛されジョーズのネコザメの紹介でした。
いつもは素通りされる水族館のサメコーナーが楽しくなりますよ？

次回もまたユニークなサメを紹介したいと思います。

参考文献

『世界の美しいサメ図鑑』　仲谷一宏／監修　宝島社　2015

『世界サメ図鑑』　スティーブ・パーカー／著　仲谷一宏／日本語版監修　ネコ・パブリッシング　2010

『さめ先生が教える　サメのひみつ10』　仲谷一宏／著　ブックマン　2016

『ほぼ命がけサメ図鑑』　沼口麻子／著　講談社　2018

『サメー海の王者たちー 改訂版』　仲谷一宏／著　ブックマン社　2016

『はじめてのサメ図鑑』　月刊アクアライフ編集部／編　田中 彰／監修　エムピージェー　2020