【いろんなサメ】ラブカ

この記事では、いろんな種類のサメを紹介していきます。

今回紹介するのは『ラブカ(羅鱶)』

『(名前が)かわいい』
『キモ癒される』
『深海のグリーンエメラルド』

どんなサメかというと……

YouTubeより引用

え、ウナギ?と思う方もいらっしゃるでしょうが、れっきとしたサメの仲間です。
某有名映画に登場する怪獣のモデルにもなっており、一部の界隈では超有名なサメです。
さらにギネスブックにも載っているサメです。

それでは詳しく解説していこうとおもいます。

1.ラブカの基本データ

ラブカは2種存在します。
今回紹介するのは学名:Chlamydoselachus anguineusのラブカです。
ラブカの基本データは下記のとおりです。

目名カグラザメ目
科名ラブカ科
属名ラブカ属
種名ラブカ
学名Chlamydoselachus anguineus
命名者Garman, 1884
英名Frilled shark
分布太平洋、インド洋、大西洋
生息域大陸棚または大陸斜面
水深50~1500mの深海
大きさ幼魚:60センチ弱
最大2m
体重???
体の特徴ウナギのような長い体
体は暗褐色
大きな口
6対あるエラ孔
顎・歯獲物を噛んで離さない三叉型の歯
獲物を丸飲みする
食べ物魚類、タコ・イカなどの頭足類、エビ
生殖方法胎生(卵黄依存型)
2~15尾の子を産む
人間に対する危険度

――口内は赤みを帯びていて耳まで裂けているかのような大きな口、人を呪い殺しそうなエメラルドグリーンの眼……一部の人たちにはたまらないサメでしょう。
このウナギまたはヘビのような異相により、ある地域ではハブザメとかトカゲウオとも呼ばれています。

YouTubeより引用

ラブカは世界中の深海に分布していますが、生態はよくわかっていません。

2.名前の由来がかわいい

ラブカの英名は「フリルド・シャーク」
見た目と名前にギャップを感じますが、この名前の由来はラブカ独特のエラ孔から来ています。
このエラ孔がまるでひらひらしたフリルのように見えることから、可愛らしい名前のフリルド・シャークと名付けられたそうです。
フリルと言われればそう見えなくもない……。

ラブカ

和名ラブカの由来もちょっと優雅です。
漢字で「羅鱶(らぶか)」と書きます。
”鱶”はサメ、”羅”はウール地のラシャ(羅紗)を指し、ラブカという名前はひれがラシャのように滑らかなことから名づけられたと言われています。

3.ラブカは生きた化石?

ラブカは生きた化石と言われ、8500万年前から現存していると言われています。
古代ザメの原始的な特徴を残しており、例えばラブカのサメ歯ですが、

ラブカ
人魚

画像のように3つの突起のある歯を持っています。三つ又ヤスのような形の歯が5本ぐらいずつ20~25列に並んで生えています。このような特徴を持つ歯は、現生のサメではラブカの仲間だけに見られます。
また、サメのエラ孔は通常5対ありますがラブカは6対あります。
口も体の先端にあり、現生のサメとは異なる体の特徴を持っています。
以上、ラブカは古代ザメの原始的な特徴を多くもっているため、生きた化石と言われているのです。

しかし現生のサメ自体、近縁種の化石が何千万年前の地層から見つかっているので、サメの種そのものが生きた化石と言えるかもしれません。

4.ギネスブック記録保持者?

ラブカは”ある記録”によりギネスブックに登録されています。
それは『妊娠期間』

ラブカは胎生でお腹の中で胎仔を育て出産します。
しかし、成長スピードは極めて遅いと考えれられており、出産まで長い期間を要します。
それがギネスブックに登録されたのです。

その妊娠期間の記録は――地球上の生物の中で最長、『3.5年』でした。

『Guinness World Records』ホームページ  Longest gestation period(最長の妊娠期間)
https://www.guinnessworldrecords.jp/world-records/longest-gestation-period

5.超有名怪獣のモデルになった?

エヴァンゲリオンの監督で有名な庵野監督が1本の怪獣映画を作りました。
それが2016年に公開された『シン・ゴジラ』でした。

少々ネタバレになりますが、この映画に登場するゴジラはどんどん進化をしていき、姿かたちが変わっていきます。その一形態のモチーフにされたというのがラブカでした。

ラブカ自体あまりメジャーな存在ではありませんでしたが、この映画により一気に認知度が高まったと思われます。

まとめ

ラブカの解説は以上です。

いかがでしたでしょうか。
サメの中でも異相を放つ存在でした。
ただ生態がよく分かっておらず飼育も難しいため、生きたラブカを見るのは非常に難しいです。
水族館に搬入されればニュースになるレベルでしょう。

このミステリアスなサメ、ラブカ。
生きているうちに一度は見ておきたいですね。

次回もまたユニークなサメを紹介したいと思います。

参考文献

『世界の美しいサメ図鑑』 仲谷一宏/監修 宝島社 2015

『世界サメ図鑑』 スティーブ・パーカー/著 仲谷一宏/日本語版監修 ネコ・パブリッシング 2010

『さめ先生が教える サメのひみつ10』 仲谷一宏/著 ブックマン 2016

『ほぼ命がけサメ図鑑』 沼口麻子/著 講談社 2018

『サメー海の王者たちー 改訂版』 仲谷一宏/著 ブックマン社 2016

『はじめてのサメ図鑑』 月刊アクアライフ編集部/編 田中 彰/監修 エムピージェー 2020

『海洋生命5億年史 サメ帝国の逆襲』 土屋 健/著 田中源吾・冨田武照・小西卓哉・田中嘉寛/監修 文藝春秋 2018

『遠洋 水産研究所ニュース No.51 ラブカ考』 佐藤哲哉 水産庁遠洋水産研究所 1984

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